多賀大社

「伊勢参らば、多賀参れ、お伊勢お多賀の子でござる」という歌がある?ので伊勢神宮の後に多賀大社に参拝してきました。
アマテラスがイザナギ(&イザナミ?)の子なので、子供の方を参拝したら親の方も参れということですね。
多賀大社は滋賀県犬上郡にある神社です。遣隋使・遣唐使で派遣された犬上御田鍬(いぬがみのみたすく)を輩出した犬神族の土地だったのが地名に残っています。
「故、其伊邪那岐大神者、坐淡海之多賀也。」と古事記には書かれている。伊邪那岐大神は淡海(近江=滋賀県)の多賀に鎮座されているということ。古事記に書かれているということは少なくとも西暦712年には多賀社が実在したということが解る。
「ひこにゃん」で有名な彦根市の近く。

祭神
  • 伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)
  • 伊邪那美大神(いざなみのおおかみ)

説明不要な日本の国産みの神。夫婦だけど実は兄妹。

高宮駅(たかみや)から多賀大社前駅までは近江鉄道本線を離れて多賀線になる。多賀線は閑散期は1時間に1本程度と本数が少ない。多賀大社前駅から高宮駅まで約3kmはタクシーで1300円程度なのでタクシーでも可。初乗りは安いがメーター上がるの速いので長距離注意。
多賀大社前駅から多賀大社の大鳥居まで700m徒歩約8分。駅名が「多賀大社前」なのに意外と遠い。

多賀大社 1
大鳥居前。

多賀大社 2
反り橋。本当は太鼓橋だが豊臣秀吉が寄進したのでもじって「太閤橋」と呼ばれる。橋の弧が急で高さがあるので手も使って四つん這いで登る必要がある。左右に平らな橋がかかっているので無理にこの橋を通る必要はない。
1588年に秀吉の母(大政所)が病臥した時に多賀社に祈願し治癒したので1万石を寄進した。

多賀大社 3
愛宕神社(左)と秋葉神社(右)。
祭神
愛宕神社: 火産靈神(ほむすびのかみ)、伊邪那美神
秋葉神社: 火産靈迦具都知神(ほむすびかぐつちのかみ)

ホムスビ=カグツチなので火産靈迦具都知神というのは? 火の神でイザナギが死ぬ原因になった神。

多賀大社 4
夫婦桜。枝垂桜です。4月の土日はこの桜の下で桜狂言が行われるとか。

多賀大社 5
杓子型の絵馬。
有名な話かもしれませんが多賀大社の縁起物の「お多賀杓子」が料理道具の「お玉杓子」の語源。その形に似ているのでカエルの幼生が「おたまじゃくし」になった。

多賀大社 6
天満神社。
祭神 菅原道眞

多賀大社 7
御神門

多賀大社 8
拝殿(中央)と神楽殿(その後ろの大きいの)

多賀大社 9
鐘楼

多賀大社 10
夷神社(えびすじんじゃ)

祭神 事代主神(ことしろぬしのかみ) 大国主の息子。

多賀大社 11
日向神社(左)、子安神社(中央)、神明神社(右)
祭神
日向神社: 天津日高日子火之瓊々杵尊(あまつひこひこほのににぎのみこと=天孫)
子安神社: 木花開耶姫命(このはなのさくやひめ)。瓊々杵尊の妻。
神明神社: 天照大神、豐受大神

多賀大社 12
能舞殿。お正月の準備中?

多賀大社 13
寿命石。左の字の彫ってある石ではなく右の囲いの中の中央の石。
重源(ちょうげん)(1121-1206)が東大寺の復興(1180年に平重衡による南都焼打で焼け落ちていた)するために伊勢神宮に17日参籠し祈願したところ天照大神が夢に現れ、(成就するまで)寿命を延ばしたければ多賀神に祈願するようお告げがあった。当時、重源61歳。
そこでお告げとおり多賀社に参拝すると柏の葉が舞い落ちてきた。その葉は「莚」(むしろ)の字の形に虫食いがあった。「莚」は分解すると「艹(廿)+延」。重源は寿命が20年延びると喜ぶ。
重源は無事に東大寺を再建させ多賀社に訪れると境内の石に座って遷下(死去)したらしい。

多賀大社 14
寿命石を覗き込んだ。周りの白い石は社務所で。石に名前を書いて寿命石に置いて長寿を祈願します。

多賀大社 15
竈神神社(左)と年神神社(右)

多賀大社 16
金咲稲荷神社への鳥居

多賀大社 17
寿命石の後ろの方。ひっそりとあって最初は気付かなかった。次へ。

多賀大社 18
熊野新宮(左)、天神神社(中央)、熊野神社(右)
祭神
熊野新宮: 速玉之男神(はやたまのおのかみ)
天神神社: 天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、高皇産靈神(たかみむすひのかみ)、神皇産靈神(かみむすひのかみ)
熊野神社: 櫛美氣野命(くしみきのみこと)

イザナミが死にイザナギがそれを追って黄泉の国に行くともう遺体は腐っていたので離縁することにした。それを約束する為に唾を吐いて生まれたのが速玉之男神。
天之御中主神、高皇産靈神、神皇産靈神は天地開闢の5柱の3柱で造化3神。
櫛美氣野命は熊野に座すスサノオの別名。

多賀大社 19
聖神社(左)と三宮神社(右)
祭神
聖神社: 少彦名命(すくなびこなのみこと)
三宮神社: 角杙神(つぬぐいのかみ)、大戸之道神(おおとのじのかみ)、面足神(おもだるのかみ)、活杙神(いくぐいのかみ)、大戸之邊神(おおとのべのかみ)、惶根神(かしこねのかみ)

スクナビコナはタカムスビの子で大国主の国造りを助ける。
ツヌグイ、オオトノジ、オモダル、イクグイ、オオトノベ、カシコネは神世七代の神。

多賀大社 20
金咲稲荷神社の鳥居

多賀大社 21
金咲稲荷神社の狐。少し怖い顔。

多賀大社 22
金咲稲荷神社。
祭神 宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)穀物の神。狐の下の蛙がかわいい。っていうか何で蛙が居るの?

多賀大社 23
森の中のような参道。駐車場からは東参道を使わないならこちらを通ることが多いかと。

多賀大社 24
大鳥居前のお店。駅周辺から多賀大社までの道沿いの建物は景観に配慮した古めかしい外観が保たれています。銀行なども日本家屋風だし。多賀大社のお土産の代表は糸切餅。

多賀大社 25
駅前の大鳥居。

多賀大社 26
御朱印。右上にある葉に「莚」は多賀大社の神紋の1つ「虫くい折れ柏」。重源の話からでしょうね。

多賀大社は中学生くらいまで何度も来ていたのですが、太閤橋を通った(登った)記憶は微かにあるもののそれ以外の記憶が全くないという・・・