ADS-B受信用アンテナの作り直し 再び

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©いらすとや.

ADS-B 1090MHzアンテナ作り直し 1
Nコネクタでマウンタ付き。皿ネジ4本で留めるタイプ。これをアンテナエレメント固定用に使う。皿ネジ穴の1つだけを使う。

ADS-B 1090MHzアンテナ作り直し 2
Nコネクタの裏側。高さ調整用にワッシャーを挟んで圧着端子を固定している。

ADS-B 1090MHzアンテナ作り直し 3
直径3mmの銅棒を圧着端子に通すとこうなる。今回は銅棒を買うことができたのでこれまでのアルミ棒から変更してみた。電波の受信には大して影響しないと思うけど「せっかくなら銅だよね」という自己満足。銅棒はアルミ棒よりは硬い。そして重い。

ADS-B 1090MHzアンテナ作り直し 4
給電部になる圧着端子に銅棒を通した状態で設計寸法通りに銅棒を曲げる。もう一方の給電部は圧着端子ではなく銅棒のU字近くでNコネクタの芯と接触する。(上の画像のようになる)

ADS-B 1090MHzアンテナ作り直し 5
アンテナの設計の数値としては給電点側のエレメントは69mm、U部分は銅棒の中心からで8mm幅。長いエレメントは150mm。棒を曲げて作る方法なので8mm幅と69mm部分は1発でバシッと曲げる。
後の調整は給電点をずらすことと長いエレメントの長さ調節だけ。この内、共振周波数合わせで確実なのは長いエレメントの長さ調整の方。なので最初は160mm程度の長めに切断して、そこから測定しながら長いエレメントの端をヤスリで削ってゆく。給電点は圧着端子を軽くかしめ、Nコネクタの芯線側との接触を確実に。でないとアンテナ特性がブレブレになって測定の意味がない。前回のアルミ棒も今回の銅棒もヤスリで擦るとどんどん削れて短くなるので最初は1mm以下程度削っては測定、最後は0.1mm程度ずつ削って測定を繰り返す。今回は曲げが設計通りの寸法で上手くできたこともあり長いエレメントは予定の長さ150mmちょうどで1090MHzで共振するようになった。(こう上手く行くのもめずらしい)

ADS-B 1090MHzアンテナ 測定 1
エレメントを削っている途中。右チャートの赤い線がSWR。1040MHzから1140MHzの100MHzレンジだけを表示しているのでV型の放物線のようなグラフの底の部分だけが見えている。トレースでミニマムを探せば最も値の低い周波数が判るが、そうはいっても何か確信が持てない。そこで右チャートに青線のMAGも表示している。
現在は1085MHz辺りで共振する。ADS-B用に1090MHzで共振させるためにはもう少しエレメントを短くする。つまり、さらに僅かに削る。

ADS-B 1090MHzアンテナ 測定 2
1090MHzで共振する状態。右チャートの青線のMAGは谷の深さが変動するが谷の位置が左右方向には動かない筈。(給電点がしっかり固定されていてエレメントに何かが触れていない状態であれば)
左のチャートの赤い点が中央の50Ωにある。これで一応完成とする。ただし、後でケーブルやサージアレスタ等もつないで、チューナーの接続予定予定位置で再度測定して確認する。

ADS-B 1090MHzアンテナ作り直し 6
今回は銅棒を折り曲げて作ったアンテナから約2mのLMR400ケーブルがつながる。LMR400はケーブルの太さが単3電池に近い太さで「がとらぼ」の中の人史上では最も太い同軸ケーブル。しかし、FlightAwareの「高度な設定のためのオプション設定」のアンテナの項目を見ると15m未満なら少なくともLMR-240、15m以上なら少なくともLMR-400と書かれてるくらいなので無線の世界ではこんなのは太い内に入らないのかしら?
とはいえ、2m程度の長さならそんなのこだわる必要なくてRG-58/U程度で十分だと思う。

ADS-B 1090MHzアンテナ作り直し 7
ケーブルが繋がるとこんな感じ。

ADS-B 1090MHzアンテナ作り直し 8
ケーブルはアンテナエレメント付近では水平になる。Nコネクタとケーブルの接続部分を覆うように融着テープで巻き付けて、融着テープ保護のためにその上からビニールテープを巻く。
アンテナエレメントを支えるための圧着端子をしっかり「かしめ」た上でハンダ。コネクタの芯側もハンダ。エレメントが銅なので90Wのハンダこてで温めても温めても熱が逃げてハンダが乗らず、ハンダが乗ってもすぐ剥がれるので苦労した。ジェットライターを使ったら少し焦げた。

ADS-B 1090MHzアンテナ作り直し 9
過去2年、年末のクソ寒い頃にADS-B受信セットが静電気によると思われる破壊を食らったので今回はサージアレスタを入れることにした。両側Nコネクタのやつ。アース線は直径5mmの銅ケーブル。雷の直撃を受けると溶け落ちると思われるが、アンテナに雷が落ちることを想定し始めると予算的に無理になってしまうので「雷は落ちないという想定」にした。

ADS-B 1090MHzアンテナ作り直し 10
サージアレスタにN-SMAアダプタを取り付けた。今回はそこにRTL-SDRチューナーをつなぐことにした。アンテナ設置時にチューナーを取り付ける前にここにNanoVNA V2をつないで最終測定を行った。結果、先のアンテナ作成時とほぼ変わらない結果だったのでチューナーに差し替えて完成。上の画像には写っていないが、実際にはN-SMAアダプタの部分から防水ケースで、チューナーはその中になる。

ADS-B 1090MHzアンテナ作り直し 11
スマホで撮影。一応スマホのフラッシュを使っているが昼の逆光にはスマホのフラッシュでは歯が立たず逆光そのままのような写真になった。
こんな感じでアンテナを取り付けた。アンテナ給電部側のNコネクタの金属部分は他の物体に触れないようにしたつもり。LMR400は特性がブレにくいようで安定感と安心感がこれまでのケーブルとは段違い。ただし、ケーブル自体がそれなりに重い。

ADS-B 1090MHzアンテナ作り直し 12
7日間のADS-B受信状態の推移を見てみた。紫の縦線がアンテナ交換なので紫の縦線より左が交換前で右が交換後。アンテナ交換前後で大して違いは無いようにも見えるがADS-Bメッセージの受信数は増えている。信号強度のグラフではノイズフロアが-20〜-25dbFSが-25〜-33dbFSに下がっている。しかし、他のmean, peakも下がっているけどこれはどう見れば良いのかしら。

前回同様にLNA無しだが、今回はバンドパスフィルタも外している。この状態でしばらく運用して様子をみるつもり。携帯電話の電波等の影響は事前に思っていたほどは受けていないかも。もしかしたらLNA無しならバンドパスフィルタ要らない?
新しいアンテナを設置したばかりなので殆ど様子はわからないが、アンテナ設置場所から障害物がほとんどない日本海側若狭湾方向だと300〜340kmがラクに見えている。東北方向は過去最大(LNAあり)で浅間山周辺(軽井沢,下仁田)まで見えていたが、今の時点では少なくとも50kmほど手前の松本あたりまでの航空機が見えている。2022年4月10日追記: 軽井沢,下仁田上空の航空機まで見えているのでカバレッジはLNA有りの過去最大時と同程度のよう。拾えるADS-B信号の数はLNA有りと比べると少ないがLNA無しでは過去最高の性能。