

Nコネクタはマウンタ付きで、皿ネジ4本で固定するタイプを使用しています。今回、このNコネクタをアンテナエレメントの固定用に活用することにしました。4つある皿ネジ穴のうち、1つだけを使用しました。

Nコネクタの裏側です。ここでは高さを微調整するためにワッシャーを挟み、その上に圧着端子をしっかり固定しました。この作業により、安定した接触を確保できます。

直径3mmの銅棒を圧着端子に通した状態はこんな感じです。今回は運良く銅棒を入手できたため、これまで使用していたアルミ棒から変更しました。棒の素材で実際の電波受信にはそれほど影響はないと思いますが、せっかくならということで「銅の方が良いよね」という自己満足です。ちなみに、銅棒はアルミ棒に比べて硬く、少し重さを感じます。

給電部となる圧着端子に銅棒を通した状態で、設計寸法通りに曲げていきます。もう一方の給電部は、圧着端子を使わずに銅棒のU字部分がNコネクタの芯線と接触するように工夫しました。(上の写真のような形です)
給電部になる圧着端子に銅棒を通した状態で設計寸法通りに銅棒を曲げる。もう一方の給電部は圧着端子ではなく銅棒のU字近くでNコネクタの芯と接触する。(上の画像のようになる)

アンテナ設計においては、給電点側のエレメント長は69mm、U字部分の幅は銅棒の中心から8mm、そして長いエレメントの長さは150mmとしました。
銅棒を曲げて作るため、8mm幅と69mm部分はやりなおし無しで一発でしっかりと曲げる必要があります。調整は給電点の位置と、長いエレメントの長さで行いますが、共振周波数の調整には長いエレメントの長さ調整が確実です。そのため、最初は160mm程度の長めにカットし、測定をしながら少しずつ長さを調整します。
削る際は、1mm以下の単位で少しずつ削り、測定を繰り返します。最終的には0.1mm単位で微調整を行うと良いでしょう。今回は銅棒の曲げ作業が設計通りに上手くいったため、長いエレメントは予定通り150mmで仕上がり、見事に1090MHzで共振しました。(これだけスムーズに進むのは、かなり珍しいことです)

エレメントを削って調整している最中です。右側のチャートに赤い線で表示されているのはSWRです。このグラフでは、1040MHzから1140MHzまでの100MHz範囲のみを表示しています。そのため、V字型の放物線のようなグラフの底の部分だけが確認できます。この底の部分をトレースすることで、最もSWR値が低い周波数を見つけることができますが、これだけでは自信を持って判断できません。そこで、右チャートに青い線でMAGも追加表示して、より正確に状況を把握することにしました。
写真では、1085MHz付近で共振が確認できます。しかし、ADS-B用の1090MHzで正確に共振させるには、エレメントをもう少し短くする必要があります。つまり、さらに慎重に少しずつ削ることで微調整を行います。

1090MHzで共振させた状態です。右側のチャートでは、青い線のMAGが谷の深さに変動が見られるものの、谷の位置が横方向に動かないことを確認します。(もちろん、給電点がしっかりと固定され、エレメントに何も触れていないという条件下での話です。)また、左側のチャートでは、赤い点が予定通り中央の50Ωの位置にあります。これで基本的にはアンテナが完成したと言えますが、後でケーブルやサージアレスタなどの周辺機器を接続し、実際のチューナー設置場所で再度測定を行い、確認する予定です。

今回は、銅棒を曲げて作ったアンテナに、約2メートルのLMR400ケーブルを接続しています。このLMR400ケーブルは、太さが単3電池に近いサイズで、「がとらぼ」の中の人が扱った中では最も太い同軸ケーブルです。しかし、FlightAwareの「高度な設定のためのオプション設定」のアンテナの項目を見ると、15メートル未満であればLMR-240、15メートル以上であれば少なくともLMR-400を使用することが推奨されています。ということは、無線の世界ではこの程度の太さのケーブルはそれほど大きい方には入らないようです。
とはいえ、今回使用している2メートル程度の長さであれば、実際のところそこまで高価なケーブルにこだわる必要はなく、RG-58/U程度でも十分なはずです。

ケーブルを接続した際の様子がこちらです。

ケーブルはアンテナのエレメント付近では水平に保たれています。Nコネクタとケーブルの接続部分は融着テープでしっかりと巻き付け、その上からビニールテープで保護しています。また、アンテナエレメントを支えるための圧着端子は、しっかりと「かしめ」た後、さらにハンダ付けを行いました。コネクタの芯部分も同様にハンダを使用しています。しかし、エレメントが銅製であるため、90Wのハンダこてを使っても熱が逃げてしまい、なかなかハンダが乗りませんでした。何とかハンダがついてもすぐに剥がれてしまうため、かなり手間取りました。最終的にはジェットライターを使って熱を加えましたが、少し焦がしてしまいました。

過去2年、冬の年末になると、寒さも厳しい中でADS-B受信セットが静電気の影響と思われる損傷を受けました。そこで、今年は予防策としてサージアレスタを設置することにしました。選んだのは、両側がNコネクタ仕様のもので、アース線には直径5mmの銅ケーブルを使用しています。雷が直撃すればこのケーブルは溶けてしまうかもしれませんが、予算の都合上、今回は「雷が落ちない」という前提で進めることにしました。とはいえ、通常の静電気対策としては十分だと考えています。

サージアレスタにはN-SMAアダプタを取り付け、その先にRTL-SDRチューナーを接続しました。アンテナの設置後、チューナーを接続する前に、NanoVNA V2を使って最終測定を行い、アンテナの状態を確認しました。結果は、以前のアンテナ製作時とほぼ同じであったため、安心してチューナーを接続して設置を完了しました。写真には映っていませんが、実際にはN-SMAアダプタの部分を防水ケースで覆い、チューナーはそのケース内に保護されています。

設置作業の様子をスマートフォンで撮影しましたが、昼間の逆光のため、スマホのフラッシュを使用しても効果が薄く、少し見づらい写真になってしまいました。このようにアンテナを取り付けた際には、アンテナ給電部側のNコネクタの金属部分が他の物体に触れないよう注意しました。また、使用したLMR400ケーブルは、これまでのケーブルに比べて非常に安定しており、その特性がブレにくいという安心感があります。重さは少しありますが、その分、信頼性が高いと感じました。

7日間のADS-B受信状態の推移を確認してみました。グラフ上の紫の縦線はアンテナ交換を示しており、左側が交換前、右側が交換後のデータです。一見すると受信状況に大きな変化はないように見えますが、実際にはADS-Bメッセージの受信数が増加しています。また、信号強度のグラフでは、ノイズフロアが-20〜-25dBFSから-25〜-33dBFSに下がっています。meanやpeakの値も下がっています。このデータの見方についてはもう少し勉強が必要そうです。
今回は前回と同様にLNA (低ノイズ増幅器)を使わず、さらにバンドパスフィルタも外した状態で運用しています。この状態でしばらく運用し、影響を観察してみるつもりです。現時点では、携帯電話の電波などの影響は予想していたほど受けていないように思えます。もしかすると、LNAがない場合はバンドパスフィルタも必要ないのかもしれません。
新しいアンテナを設置したばかりで、まだ全体の状況はつかめていませんが、日本海側の若狭湾方向では、周囲の建物や地形上の障害物が少なく、300〜340km先の航空機を難なく受信できています。東北方向では、過去最大時にはLNAありで浅間山周辺(軽井沢、下仁田)まで見えていましたが、現時点では少なくとも50km手前の松本付近までの航空機が受信可能です。
2022年4月10日追記:
軽井沢や下仁田上空の航空機まで見えることが確認できました。これは、LNAありの時とほぼ同等のカバレッジです。LNAありの時よりも受信できるADS-B信号の数は少ないですが、LNAなしでは過去最高の性能を発揮しています。
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