ダイソーの300円USBスピーカーでコンクリートスピーカーを作る

ダイソー300円USBスピーカーをコンクリートスピーカーにする

ダイソーの300円USBスピーカーを改造する記事はすでにたくさん出ていますが、「がとらぼ」ではまだ扱っていなかったので、とりあえず購入してみました。

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お馴染みのダイソー300円スピーカーの箱です。欲しくないときには店頭に並んでいるのに、欲しいと思て店に行くと在庫切れになっている、あの商品です。

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箱の背面です。ロット番号がシールで貼られています。

ダイソー300円スピーカー仕様

出力: 3W x 2
インピーダンス: 6Ω
周波数特性: 35 - 20KHz
本体: 横63mm x 縦75mm x 奥行55mm
スピーカーユニット: 直径35mm、外周込み46mm
アンプ: 右スピーカーユニットに内蔵
入力: 3.5mmステレオミニプラグ (オス)
電源: 5V (USB-Aオス)

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もう皆さんすっかり見飽きていると思われる中身です。

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このダイソー300円スピーカーは、モデルチェンジでアンプが変わり低音が出るようになったと話題になっていましたが、2020年1月に入って購入したものは再び古いモデルに戻っていました。また、新型アンプ搭載版では筐体の音量ダイヤル部分に「+−」の印が付いていましたが、筐体も古いタイプに戻っています。本体背面の製造年月シールは新しい日付だったので、たまたま古い在庫を引いたわけではなさそうです。

ところで、このスピーカーは見た目から完全に密閉型(sealed enclosure)だと思い込んでいましたが、製造年月のシールの下にある穴はネジ穴ではなく、実はバスレフポート(bass reflex port)でした。空気室の共鳴を利用して低音を補強する仕組みです。改めて調べたら、そう説明している人もちゃんと存在していました。自分の思い込みが強すぎて、以前読んだ情報が頭に入っていなかっただけです。ただし、音量ダイヤル部分は内側が完全に仕切られているわけではなく、空気室と直通しているため、ダイヤルの横からも空気が漏れています。この辺りは少し雑な作りです。

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EST-8002ACという型番の古い基板です。樹脂のエンクロージャーだけでなく、中の基板も古いバージョンでした。右下の赤枠部分がスピーカーへの出力ラインなので、はんだごてで温めて丁寧に配線を外します。右側に縦に2本あるのが電源ライン、左端に3本あるのが音声入力です。

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スピーカーにつながっているケーブルも、はんだごてで温めて丁寧に外します。

300円USBスピーカーが古いバージョンだったことに、自分でもびっくりするくらいガッカリしてしまい、そのせいで購入後2ヶ月以上放置することになりました。
しかし、ある日YouTubeでコンクリートスピーカーの動画を見て、突然「スピーカーを作ろう」という気になりました。
コンクリートスピーカーとは、スピーカーの駆動部自体は普通のものを使い、エンクロージャー(箱の部分)を木材や樹脂ではなくコンクリートで作るものです。今回は小石・砂利を入れない「セメント+砂+水」の配合なので、正確にはコンクリートではなくモルタルです。

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購入したのは、スピーカーと同サイズのパッシブラジエーター(passive radiator)です。以前はドローンコーンとも呼ばれていました。要するに磁石のないスピーカーで、それ自身では音を出せません。ドライバーユニット付きのスピーカーとパイプなどで空気室がつながっており、メインのスピーカーが動くと空気の動きでパッシブラジエーター自身も振動します。ただし、空気の動きに100%同期するわけではなく、共振周波数で効果的に低音を補強します。
画像の手前の黒いパーツはゴム膜のようなものが張ってあり、中央に重りとなる板が貼り付けてあるタイプです。裏面もほぼ同じ見た目になっています。奥側がダイソー300円スピーカーです。

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今回のコンクリートスピーカーの空気室になる部分です。外径60mmの塩ビパイプを適当に切断して2つ貼り合わせました。単純に2つ並べるだけだと接触面積が狭すぎるため、片側の一部を取り除いて20mm×60mmの面積でつなげています。これが40mmの深さでモルタルに埋もれる形で空気室を形成します。今回はパイプに切れ目を入れずに使いましたが、コンクリートから剥がすときは最初にパイプを切っておいた方が遥かに楽だった筈です。

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養生テープで隙間がないように全体を覆いました。特にパイプの底面は重要です。底面に隙間があるとモルタルが流れ込んで大変なことになります。

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今回のエンクロージャーの型枠は、ダイソーの積み重ね収納ボックスの小型のものです。その中に2つ横に繋いだパイプを浮かべるように配置します。このとき、片側の底面にストローを刺して収納ボックスの底面とつなぎます。収納ボックスの底面に穴をあけて直径3mmほどのビニール紐を貫通させ、パイプの底面とボックスの底面をストローで固定します。紐の両端には結び目を作って抜けないようにしました。これが後でスピーカーケーブルを通す貫通穴になります。

今回使ったのはコメリのプライベートブランド「砂入りインスタントセメント」です。安かったのですが予想以上に良いモルタルでした。砂が調合済みなので、重量を量って指定された水を加えて混ぜるだけです。夏場の猛暑でなければ水量は少しだけ少なめに(蕎麦打ちの水分量をイメージ)。混ぜ始めは「水が全然足りない?」と思うくらいで十分です。

これを流し込む前に、灯油をキッチンペーパーに染み込ませて、ダイソー収納ボックスの内側とパイプの外側に薄く塗っておきます(離型剤の代わり)。軽く、スッと塗る程度で十分です。底のストローは塗る必要はありません。

モルタルを流し込んだら、バイブレーターでなるべく気泡を追い出します。業務用の専用品は不要で、マッサージ用のバイブレーターにマイナスドライバーをガムテープで固定し、モルタルの中に先端を突っ込んでグルッと数周かき回します。特に枠に近い側と底面を丁寧に気泡抜きをしたつもりでしたが、水分少なめだったため細かい気泡が少し残りました。大きな気泡さえなければ問題ありません。

コンクリートを打ったら、途中で触りたくなるのを我慢して24時間放置します。

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24時間後、まだ完全には固まっていませんが扱いやすい硬さになっていたので、キッチンペーパーを水で湿らせて型枠の内側に飛び散ったモルタルをきれいに拭き取ります。水分があれば簡単に取れます。これを怠ると後で型枠から中身を抜くのが大変です。次にパイプ2つを繋いだ空気室の枠を抜き取ります。切ってある方のパイプを内側に力を入れるときれいに剥がれます。今回は片方のパイプを切っていなかったのでワイヤーカッターでパイプを切って取り出しました。
空気室のパイプを取り出したら、上下をひっくり返します(上の画像)。スピーカーケーブルを通す部分に紐が通っていて、ケースの外側すぐのところに結び目が見えています。

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その結び目をニッパーで切り落とし、紐の切断部を型枠の内側に押し込みます。これで空気が入りやすくなり、プッチンプリンのような状態になります。無理のない程度に型枠ごと上下に揺すると、中身の重さで少しずつ下がってきます。モルタルの塊が半分ほど抜けたら直接掴んでまっすぐ引き抜きます。

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きれいに抜けました。このモルタルは初心者でも本当にきれいに仕上がります。空気室側の紐の結び目を引っ張るとストローもきれいに抜けます。

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空気室側の仕上がりはこのようになりました。見えにくいかもしれませんが、奥側の底にはスピーカーケーブルの穴も写っています。

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スピーカーとパッシブラジエーターの裏側の4辺に1mm厚のゴムシートを貼り付けます。オモテ側は45度斜めにゴムシートを貼ります。これで4隅のネジ穴は塞がれます。モルタルなのでネジ止めは使っているうちに砕ける可能性が高く、アンカーも論外です。モルタルが経年で痩せてきたときにスピーカーがガタつくのも避けたいため、ゴムシートを介してモルタルに接着する方式にしました。

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吸音材のメインはメラミンスポンジです。100均ストアで売っている掃除用の白いものです。カッターナイフでサクサク切れるので加工しやすさは抜群です。

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今回は空気室が狭くスピーカーも小型なので、吸音材は薄めにしました。広いエンクロージャーならスピーカー裏面に吸音材は不要ですが、今回は空気室が狭いためスピーカー裏の金属部分の面積比率が大きくなります。そこで気休め程度に薄くメラミンスポンジを貼りました。ただし、スピーカーと側面の距離が近いので、裏面は必要最小限の面積に留めています(マグネットが大きいと空気の通りが悪くなりやすいため)。

空気室の側面はコットンシートを貼っただけです。接着はすべてエポキシ接着剤を使いました。

左側の底面(立てて使うときの背面側)にはスピーカーケーブルを通す穴があるので、ケーブルを通してからたっぷりのエポキシ接着剤で穴を完全に塞ぎます。奥まで充填しないと空気漏れが起き、パッシブラジエーターの効果が台無しになります。穴を塞いだら、底面にもメラミンスポンジとコットンシートを貼り、空気室の内側にはモルタル露出しないように全部覆いました。

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ゴムシートを付けたスピーカーとパッシブラジエーターは、エポキシ接着剤でモルタルに固定します。完全に密閉するため接着剤はふんだんに使用します。音の面ではゴムシートの有無による影響は現時点ではわかりません。
ここで、想定より前面側のコンクリート面が狭いことに気づきました。コンクリートを継ぎ打ちする際に面積が狭いと剥がれやすくなるため、次回作では要検討です。

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セメントを継ぎ打ちするための外枠は、ダイソーケースの底面を切り落としたものを使います(1つだけ)。すでに固まっている上面(スピーカー前面側)の表面を金属ブラシで擦って荒らしてから枠を付け、スピーカーとパッシブラジエーターの上には円筒を貼り付けます。この円筒はクリアケースの樹脂シートを必要な直径に丸め、内側底面側にガムテープを3mmはみ出して巻いたものです。隙間があるとモルタルがスピーカーの上に流れ込むので要注意です。
円筒を付けたら、上面のモルタルに霧吹きでたっぷり水を吹きかけます。これを省略すると継ぎ打ちしたモルタルが密着しません。今回は継ぎ打ちが15mm程度と薄いので、外枠に灯油は塗らなくても大丈夫です。

先に使用したコメリのインスタントセメントがもう無かったので、家庭科学工業の「日曜セメント」を使いましたが、コメリのものより水分量の調整が難しかったです。水は少なめが重要ですが、足りないと砂っぽく、少し足すとベシャベシャになります。計量して混ぜたものの足りない気がして少し足したら水っぽくなってしまいました。水分が多いと強度が落ちるため良くないのですが、残りが少ないのでやり直せずそのまま継ぎ打ち。結果、バイブレーターを入れたら液状化して表面に水が浮き、乾いたときにバイブレーターの跡が凹になりました。また、枠と接していた部分がボロボロに…。色もグレーだったので継ぎ目が目立ちました。ただし水分多めだったため、継ぎ打ち部分は見た目上一体化しているように見えます(強度的には問題ありそうです)。

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継ぎ打ちしてから24時間はさわらずに我慢します。24時間が過ぎたらスピーカーを保護していた円筒を慎重に剥がします。円筒の外側から内側に力を入れて1周し、円筒内側とスピーカー外周に張り付いたガムテープも、スピーカーのコーン外周部(他所の記事でウレタンエッジと書いてあったのでウレタンだと思っていましたが、実際はビニールエッジのようです)を傷つけないよう注意して剥がします。ダイソーケースの外枠は四辺を内側から指で押して剥がし、すぐに抜かずさらに1日固まらせてから抜きました。

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水分が多かった影響で固まって余剰水分が抜けると「ひび割れ」が発生しました。表面だけでなく結構深いひびのようで怖いです。また、表面に水が浮いたせいでセメント成分がボロボロになっています。ブラシで擦ってある程度除去しました。ディスクグラインダーで表面を削ってきれいに仕上げたいところですが、継ぎ打ち部分から剥がれそうなので今回は見送りです。エンクロージャの角の部分やスピーカーホールの縁の部分はモルタルが上下逆のレの字状に崩れやすいので、ある程度は仕方ありません。今回はこの状態で完成とします。

「あれっ、パッシブラジエーターに重りを増減して共振周波数を調整しないの?」
ド素人の家にそんなことをするための測定器はありません(断言)。

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スピーカーの側面方向から光を当てて表面の凹凸を強調して撮影しました。左側のスピーカーの右辺から下辺にかけてのバイブレーター通過跡の凹みが特に目立ちますが、これは影の強調効果で、実際は記事冒頭の写真程度の見栄えです。それでも完璧にきれいとは言えません。

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スピーカーエンクロージャ背面側です。こちらは細かい気泡はありますが、型枠とモルタルの相性が良く一応きれいに仕上がりました。スピーカーの下に敷いているのは家具の脚によるキズ防止のためのスポンジパッド(昔ダイソーで買ったもの)です。左右で色が違うように見えますが、光の影響で実際は同じ色です。

コンクリートスピーカーを聴いてみた。

赤黒のスピーカーケーブル(オーディオ用ではありません)を、元のダイソー300円スピーカーの内蔵アンプにハンダ付けで繋ぎました。アンプまで変えてしまうと改造前との比較ができなくなるためです。

音を鳴らしてみたところ、まず、音量が違います。これはパッシブラジエーターが効いていると思われます。ダイソーアンプの音量ダイヤルに印を付けて、改造前と同じ条件で録音して比べても明らかに音量が増えています。

重量のあるコンクリート(モルタル)の塊のおかげで、元のペラペラ樹脂エンクロージャーのようなホワホワした反響音や雑味がなくなり、中域から高域がとても自然で豊かに聞こえます。必要な部分はサクッとキビキビした印象です(ただし若干硬めの音色になるので、人によっては気になるかもしれません)。苦労したからという贔屓目ではなく、本当に改善しています。特にクラリネットやトランペットの中域の軽やかな音がよく出ます。ただ、低域はやはりほとんど出ていません。イコライザーで低域をバッサリカットしたような音です。それでもパッシブラジエーターのおかげで、改造前よりピアノの中低域は改善しました。ベース音もわずかな改善止まりです。これは低音が出せるアンプに交換しないとどうにもなりません。

以前「がとらぼ」でも紹介した2000円以下の定番スピーカーLogicool Z120BWとも比べてみましたが、以前「音が良い」と褒めたのが恥ずかしくなるくらい、実はホワホワした音だったと気づきました。音の自然さではZ120BWよりこのコンクリートスピーカーの方が遥かに勝っています。

低音はZ120BWの方が少し出ていますが、それもホワッとした低音です。軽量・小口径スピーカーではズンズンする力のある重低音は難しいですね。

今回作ったコンクリートスピーカーはデスクトップPC用として使う予定です。

というわけで、コンクリートスピーカーの音はとても気に入ったので、いつかダイソーの大きい積み重ねケースを使って直径10cm程度のスピーカーで新たなコンクリートスピーカーを作る予定です。次回は継ぎ打ちではなく1回の流し込みでスピーカー+空気室を一緒に沈め込む作り方に挑戦します。だいぶ大きくなるので、ただのモルタルではなくガラス繊維を混ぜた強化コンクリートにしたいと思います。

書き忘れていましたが、このエンクロージャーは片側で2.4kgです。元の樹脂エンクロージャーが中身入りで130g程度だったので約18倍、内臓を抜くと40g程度なので約60倍の重さになります。ヘボい人用のダンベルくらいの重さなので、足に落としたら骨が砕けるかもしれません。

モルタルなのでとにかく安価です。10kgの袋に入った砂入りインスタントセメントで500円前後。普通のセメントならもっと安くなります。型枠の100均ケース、メラミンスポンジ、端材のパイプやケーブルなどを使ったので、ダイソースピーカーの他には1000円かかっていません。最近流行りの高級スピーカーには音質で負けるかもしれませんが、コストパフォーマンスは抜群です。そういえば、ガッチガチに固めるという点では「純セレブスピーカー」とは真逆のアプローチですね。

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