中国製のAndroidナビ(ヘッドユニット)にUSB接続して使用する「USB Dashcam」は、ドライブレコーダーとしても使えるUSBカメラの総称です。基本的にはmicroSDカードスロットを備えたUSBカメラで、microSDカードを挿入すると、映像を繰り返し録画するループ録画機能を利用できます。録画した映像は、microSDカードをPCなどに挿して再生できるほか、接続先のヘッドユニットでも再生できます。ヘッドユニットで再生する場合は、microSDカードを取り出す必要がありません。カメラ本体にはGPSが搭載されていない機種が多く、位置情報や走行速度などは接続先のヘッドユニットから取得して記録します。ただし、これらの情報を取得できるのは、ヘッドユニットでDVRアプリが起動している間だけです。DVRアプリを起動していない間は、位置情報や走行速度などが記録されません。
一部のヘッドユニットメーカーが純正の周辺機器として販売している機種を除き、多くのUSB Dashcamには小容量のストレージが内蔵されており、その中に専用のDVRアプリが保存されています。このアプリをAndroidナビにインストールすると、録画映像の再生や、カメラが撮影している映像のリアルタイム表示が可能になります。また、多くの機種では、DVRアプリを更新することでAR ADAS(拡張現実を利用した運転支援機能)を追加できるようになっています。

AliExpressで「USB Dashcam」などのキーワードを使って検索すると、外観が少しずつ異なる、よく似た製品が大量に見つかります。価格は1,500-4,000円程度のものが中心です。中国製のUSB Dashcamは、レンズの向きを上下方向には調整できても、左右方向にはほとんど調整できない機種が多く、画角は130-140度程度の広角タイプが一般的です。外装の形状にはさまざまな種類がありますが、内部の基板や基本的な構造はほぼ同じという製品が数多く存在します。いわば、共通の設計を利用したコピー製品です。ただし、USBでの通信手順などに細かな違いがあり、ある製品に付属するDVRアプリが、別の製品では動作しないことがあります。一方、メーカー独自のカスタマイズが行われていない製品では、他社のDVRアプリがそのまま動作することもあります。
USB Dashcam本体だけでなく、DVRアプリに追加されるAR ADAS機能も、製品による違いはほとんどありません。メーカーによって多少のカスタマイズが加えられているほか、高徳地図を利用したARナビゲーションに対応する製品や、音声案内の対応言語数が異なる製品もありますが、基本的な機能はほぼ共通しています。
これらのAR ADASは、2020年頃の性能が低いヘッドユニットでも動作するように設計されているため、認識対象が自動車と車線に限定されています。その後も大きな進化は見られず、2026年10月現在でも基本的な機能はほとんど変わっていません。最近では、ヘッドユニットメーカーがSR ADASと呼ばれる、周囲の交通状況をCGで表現する運転支援機能に対応しようとする動きもあります。しかし、SR ADASには比較的高い処理能力が必要です。そのため、性能の低いSoCを搭載した中国製ヘッドユニットで実現するのは簡単ではありません。Teslaの車両に搭載されているような高度な運転支援システムを期待すると、機能の違いにがっかりするかもしれません。
現在、「がとらぼ」の人が開発しているのは、SR ADASではなくAR ADASです。処理能力が限られたヘッドユニットと1台のカメラで運転支援機能を実現するには、AR ADASの方が適していると考えたためです。ただし、従来のように自動車と車線だけを認識するものではありません。歩行者、二輪車、信号機、道路標識などにも対応させることを目指しています。これらの認識機能は、実用的なADASとして最低限必要なものだと考えています。
さて、ここまで説明したように、安価な中国製USB Dashcamの多くは、内部構造やソフトウェアに共通点があります。同じSDKを利用して開発されているため、通信方式にも大きな違いはありません。しかし、わずかな違いによって、他社製品に付属するDVRアプリが動作しない場合があります。そこで、こうした製品ごとの違いをアプリ側で吸収し、できるだけ多くの中国製USB Dashcamに対応することを目指しています。そのためには、まず各製品がどのような方法で映像を送信しているのかを調べる必要があります。そこで開発したのが、USB Dashcamの通信方式を調査するAndroidアプリ「USB Video Probe」です。製品ごとの違いは小さいものの、すべての通信方式を自動的に判別し、映像を取得できるわけではありません。機種によっては個別の解析が必要になります。USB Video Probeは、その解析に必要な情報を収集するためのアプリです。使い方は簡単です。USB Video ProbeをインストールしたAndroidデバイスにUSB Dashcamを接続し、通信方式の検出を実行します。Androidデバイスは、ヘッドユニットでもスマートフォンでも構いません。そして、検出した情報を「がとらぼ」の人に送信してもらい、その結果を解析して対応機種を増やしていく仕組みです。検出結果は、アプリ内のボタンを1回押すだけで送信できます。
最新版USB Video Probeアプリのダウンロード上のリンクから最新版のUSB Video Probeをダウンロードし、Androidデバイスにインストールしてください。

USB Video Probeを初めて起動すると、カメラへのアクセス許可を求める画面が表示されます。「アプリの使用中」を選択して、アクセスを許可してください。

上記のリンクからダウンロードした直後であれば、アプリは最新版なので更新する必要はありません。インストールしてから日数が経過している場合は、「Updates」ボタンをタップして更新の有無を確認してください。新しいバージョンがある場合は、「Update now」をタップすると最新版がダウンロードされ、インストールされます。更新後にアプリが自動的に起動しない場合は、アプリ一覧からUSB Video Probeを起動し直してください。

USB Dashcamを接続してからUSB Video Probeを起動した場合は、通常、接続されたUSBデバイスがすでに認識されています。アプリを起動した後にUSB Dashcamを接続した場合は、「Refresh devices」ボタンをタップして、接続されているデバイスの一覧を更新してください。
USB Dashcamが認識されたら、「Start detection」ボタンをタップします。これで、カメラの通信方式の検出が始まります。

すでに通信方式が判明しているUSB Dashcamであれば、カメラの映像が表示されます。一方、まだ対応していない機種では、「Video stream Unverified」と表示されます。この場合は、画面右下付近にある「Send to developer」ボタンをタップしてください。検出したUSB Dashcamの情報がCloudflareのR2ストレージに送信され、開発者である「がとらぼ」の人が解析できるようになります。これがUSB Video Probeの最も重要な目的です。送信された情報を解析し、通信方式を特定できれば、今後のバージョンでその機種に対応できる可能性があります。さらに、開発中のAR ADASアプリでも、そのUSB Dashcamを利用できるようにすることを目指しています。ただし、メーカー独自の特殊なカスタマイズが行われている場合や、これまでに確認されていない通信方式が使われている場合など、解析が難しいこともあります。そのため、情報を送信していただいても、必ず対応できるとは限りません。

「Start detection」でカメラの映像が表示された場合でも、すぐに映像の更新が止まり静止画になります。これは、通信方式の検出では数コマしか必要ないからです。カメラの映像を継続して確認したい場合は、「Start preview」ボタンをタップしてください。リアルタイムの映像表示に切り替わります。

「Start preview」を実行すると、このようにUSB Dashcamが撮影している映像をリアルタイムで確認できます。
「がとらぼ」のアプリは基本的にはGoogle Playで配布するつもりでいましたが、このUSB Video Probeはアプリの性質上、Google Playのポリシーに反すると考えられるため所謂「野良アプリ」として配布します。ただし、CloudflareのR2ストレージを利用し、それ以外での配布と更新は行いません。この記事で紹介しているリンク以外からの入手は危険と思ってください。
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