
ADS-B受信セットを持ち歩けるようにしたい。そこで新たにアンテナを作成することにした。今回は缶テナ。
缶テナ(カンテナ)というのは空き缶を使ったアンテナ。Wi-Fiの電波を指向性を高めて遠くに飛ばすため(日本では違反)に作られたものをYouTubeで良く見るが、それは空き缶の内側を使っている。今回作成する缶テナは空き缶の外側を使う。ダイポールアンテナとグランドプレーンアンテナとスリーブアンテナを足して3で割ったみたいなアンテナ。
実はこれまで2個作っていて、持ち歩いて空き缶を変形させたりエレメントの棒を折ったりして捨てている。今回は3つめ。作り方のコツは憶えてしまった。
今回、缶テナを作るのに使うのは350mlのコーラの缶。缶の表面の塗装は要らないので剥がすのだが、アルミ缶だと薄くて柔らかいので難しい。
写真のように未開封の缶をくるくる回しながら表面を耐水ペーパーで削ってやる。このとき塗料と下地材の粉が出て耐水ペーパーの目が詰まるのと細かい粉が大量に空気中に漂い出すことになるので洗面器などに水を張りその中でやる方が良さげ。
缶の底も軽く削る。また窪みの中心に穴を開ける。
缶の底の中心にNコネクタのネジがぎりぎり通るサイズの穴を開けた。右側のNコネクタの芯側にアルミ棒を付けた。
缶側も69mmの高さの予定なので69mmより僅かに長めで切断した。やはり後で測定して必要に応じて調整する。こちらの長さ調整はヤスリではなくハサミで切るのが簡単。
Nコネクタのネジを缶の穴に通す。ネジの締め具合でも僅かに調整できるよう缶の内側にはワッシャーを挟み外側をナットで留める。
ナットでしっかり固定した。屋外に長期設置するなら缶の底の窪みに雨水が溜まってしまうので排水用の穴を開けたり防水加工を行ったりということが必要なのだろうが今回は持ち歩き用で雨天での使用を想定していない。
缶の内側はこんな感じ。
Nコネクタ付きの50Ω同軸ケーブル。これを缶テナに接続する。RG-58/Uなのでちょっと細いけど、これは計測器と接続する短いケーブルなので十分。
ケーブルを接続するとこんな感じ。
計測用にNanoVNA V2 (SAA-2)を接続してアンテナの特性を調べ、缶テナの調整を行う。写真は机の上に寝た状態だが、実際はNanoVNA V2が下で缶テナが上を向く。(アルミ棒の先端が一番上になる)
NanoVNA V2をPCと接続して取得した画面。590MHzから1590MHzまでの広い範囲をを表示。左半分はスミスチャート。右半分のグラフの赤線がSWR、青線がMAG。ADS-Bは1090MHzだが広域で50ポイントを計測しているので1090Hzちょうどは測れてなくて1100MHzでマーカーの○が表示されている。
範囲を絞って990MHzから1190MHzにした。右のグラフの中央が1090MHzになる。
未調整のアンテナだけど意外と優秀?スミスチャート側では1088MHzでほぼ50Ω。SWRとMAGは1085MHzあたりで一番下がる。MAGはもっと谷間が深い方が嬉しいし1090MHzちょうどで最も下がるのが良いのだろうが、これくらいのズレならヘタに調整しようとして失敗したくないというのが勝つかも。あと、おおまかな調整はこの短いケーブルを使用した状態で行っても良いが最終的な微調整までこの短いケーブルで行うのはよろしくない。実際にアンテナと受信機の間に使用するケーブルを接続して(受信機と同じ接続条件で)再計測して調整する。
持ち歩いたり乗り物で邪魔にならない1.5m程度の長さの塩ビパイプと2.5〜3mの同軸ケーブルを用意する。もしくは同軸ケーブルを使わず缶テナのNコネクタにN-SMA変換アダプタを接続してRTL-SDRレシーバを直結して長いUSBケーブルでPC/スマホと接続する。再利用可能な緩められるタイバンドも。後はRTL-SDR受信機を接続するノートPCかスマホ。どうせ同軸ケーブルを巻いて持ち運ぶならカバンが必要なのでノートPCで良いかと。USBケーブルなら3mでもコンパクトにできるのでスマホとか?
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ads-b関連記事を参考にさせて頂いてます。
私も色々やりましたが、結局「市販のBS/CSラインアンプ」を使う方法に落ち着きました(笑)
アンプ帯域下限が1000MHz、インピーダンス不整合、変換コネクタロス等、半信半疑でしたがその効果は非常に大きく、有無の比較で最大100kmほど距離が伸び遠方260kmの航空機を補足出来ています。
参考になれば。