古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音

車の静音化で、リアのラゲッジエリア床下に遮音シートを敷くのに次いで簡単そうなのが、ボンネット内側への制振材および吸音・断熱材の施工です。しかし、ここまでの静音化作業の中でこれを後回しにしており、ようやく実施することにしました。後回しにしていた理由は、効果があまり期待できないと考えていたからです。
というのも、うちの車はボンネット内側に柔らかい素材の内貼り(フードインシュレータ)がもともと装着されておらず、代わりに鉄板や樹脂製の硬いインナープレートが付いています。そのため、アウターパネルに直接施工できる面積がかなり限られています。ただし、ボンネット内の施工は比較的作業が簡単なだけでなく、費用も安く抑えられるため、フロントタイヤハウス周りの本格的な施工の前に試してみることにしました。

ボンネット内は非常に高温になるため、使用できる素材は限られます。今回購入したのは、耐熱性のあるグラスウール素材の吸音・断熱材です。他社製品を見ても、ボンネット用として販売されているものはグラスウール(ガラス繊維)素材を使用しているケースが多いようですが、グラスウールの取り扱いには細心の注意が必要です。
一方で、ダイナマットのようにガラス繊維を使わない製品も存在します。施工時の扱いやすさを考えると、そうした製品を選ぶ方が圧倒的に楽かもしれません。
  • 3000: 1300 x 600 x 4.5mm ミニバン・RV用
  • 2500: 1180 x 750 x 4.5mm 普通自動車用
  • 1500: 1150 x 520 x 4.5mm 小型自動車用
  • 660: 1100 x 480 x 4.5mm 軽自動車用
今回購入したのは1500の小型自動車用ですが、実際には660の軽自動車用でも余るほどでした。

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音 1
今回購入した矢澤産業株式会社の「かいおんくん」です。

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音 2
パッケージは意外と大きく、正面にはCDを6枚並べることができる程です。

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音 3
パッケージ背面には施工方法が記載されており、作業手順自体で迷うことはありません。ただし、なぜか施工作業中のグラスウールの取り扱いに関する注意書きはありませんでした。 一方、パッケージ側面には「装着後、グラスウールの粉が車内に入るのを防ぐために、100kmくらい走行するまでエアコンの内外気切替レバーを外気導入ではなく内気循環にして下さい」と書かれています。つまり、施工時や直後にはそれなりの量の粉塵が発生する、ということです。

グラスウールはアスベストのような発がん性はなく、基本的には無害とされています。しかし、粉が体に付着するとチクチクした刺激やかゆみ、赤く腫れるといった症状が出ます。非常に細かいガラス繊維の粉が空気中に大量に舞うため、目に入ったり吸い込んだりするリスクも高いです。
そのため施工時は、外気を遮断できるゴーグル、手袋、ガスマスクを必須とし、可能であれば肩から上をすっぽり覆える大きな透明ビニール袋を頭から被ります。口元に直径5cmほどの穴を開け、ガスマスクのフィルター部のみを通します。穴は広げすぎず、フィルターが通る瞬間だけ伸ばすのがコツです。
ガスマスクはフィルターから吸気し、口元から排気する構造のため、ビニール袋の首元を紐で軽く縛っておくと、排気によって袋が膨らみ視界が確保しやすくなります。また、わずかに陽圧になるため、首元からグラスウールの粉が侵入しにくくなります。
服装はツナギを着用し、「かいおんくん」付属のビニール手袋ではなくゴム手袋を使います。ゴム手袋の袖口はツナギの袖の上からガムテープでしっかり固定します。足元も、ツナギの裾を長靴の上に被せると安心です。使用後のツナギは念入りに洗濯するか、状況によっては廃棄することをおすすめします。

作業を始める前に、エアコンの外気導入/内気循環の切替スイッチを内気循環に切り替えてください。作業時にかなりのガラス繊維が飛散し、外気吸入口に降り注ぐことになります。

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音 4
パッケージの中身です。ビニール袋に入った「かいおんくん」本体と、かなり大きめのビニール手袋が1組入っています。この手袋はブカブカすぎて作業しづらく、指先部分が破れやすいため、使用しない方が無難です。 また、グラスウールシートの端部を処理するためのテープ類は付属していません。後述しますが、端部処理は必須なので、あらかじめアルミテープなどを別途用意しておくと安心です。

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音 5
うちの車のボンネットを開けた状態です。写真の上方向が、ボンネットを閉めたときの車両前方側にあたります。
この車種では、純正状態でボンネット用の柔らかい吸音内張りは装着されておらず、大部分が中空構造の二重鉄板になっています。
写真の下部に赤い丸を3か所付けた部分がキャビン寄りにあたり、アウターパネル内側が大きく露出しているのは、この3か所だけです。

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音 6
こちらは、ボンネットを閉めた際に固定フックが掛かる突起部分です。ここもアウターパネルの内側が見えている箇所ですが、この小さな隙間からアウターパネルに制振材を貼るのはほぼ不可能です。
エンジンの熱を受けない場所であれば、ウレタン発泡剤で埋めたいところですが、この位置でそれを行うのは危険すぎるため、今回は諦めました。

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音 7
アウターパネルの内側が直接見えている部分です。長期間にわたり汚れや水分が付着していたため、水拭きやシリコンオフを使っても綺麗になりませんでした。 それでも、この部分は叩くと響くため、ここにはしっかりと制振材を貼っていきます。

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音 8
アウターパネルの内側が露出している部分と、インナーパネルの一部に制振材を施工しました。施工したのは、叩いて音が響く部分のみです。 なお、インナーパネルが山折り形状になっている部分より前方側には、何も貼るべきではありませんでした。わずかな厚みでも固定フックが掛からなくなり、ボンネットが完全に閉まらなくなります。

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音 9
「かいおんくん」をボンネット内側に仮合わせし、はみ出す部分を確認します。ちょうど中央で二つ折りにし、左右対称になるよう余分な部分をカットしました。
この時点では気付いていませんでしたが、前方寄り約10cm分は最初から切り落とすべきでした。
また、固定フックが掛かる突起部分には穴を開けましたが、結果的にはその部分ごと切り落とすことになったため、穴あけは不要でした。

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音 10
固定フックの突起部分に穴を合わせ、そのままシートを貼り付けました。説明書には二人作業を推奨するような記載がありましたが、単純に貼るだけであれば一人でも十分に作業可能だと感じました。

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音 11
貼り付けたシートを斜めから見た状態です。この段階まで作業して(ようやく)ボンネットを閉めてみたところ、フックが掛からず完全に閉まらないことに気付きました。
写真の赤い線、もしくはインナーパネルが山折りになっている部分より前方側には、何も貼ってはいけないようです。そこでハサミを使ってその部分を切り落としました。
この作業では大量のガラス繊維が飛び散るため、軽装で行うのは非常に危険です。軽装だと、目への侵入、吸い込み、頭部への付着は避けられません。また、エンジンルーム内にも細かな粉が大量に降り注ぐため、あらかじめ新聞紙などでエンジン全体を覆っておくことを強くおすすめします。

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音 12
「かいおんくん」の粘着面は、紙+粘着剤という構造です。紙製の両面テープのようなものと考えて良いですが、粘着力は意外と強力です。一度べったり貼り付いたものを剥がそうとすると、紙が破れて残ります。
しかも、その粘着剤にグラスウールが付着した状態で残るため厄介です。擦ると、付着したグラスウールが細かく砕け、さらに飛び散る原因になります。(次)

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音 13
剥がれない部分には、上からガムテープを貼り、しっかり押さえ付けます。これにより、グラスウールがガムテープ側に付着し、飛び散りをある程度抑えることができます。

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音 14
樹脂製のスクレイパーをガムテープの下に差し込み、ガムテープに押し付けるようにしながら「かいおんくん」の残りをガシガシ剥がしていきます。この方法で、飛散を最小限に抑えながら作業できます。

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音 15
かなり捲れてきた状態です。グラスウールはガムテープと「かいおんくん」の粘着糊の間に挟まれるため、ほとんど飛び散りませんが、それでも一部は空気中に舞います。
ライトをうまく当てると粉が飛び散る様子がよく見えるため、作業中はライト必須です。粉が極めて細かいため、写真にはその様子は写っていません。

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音 16
「かいおんくん」のシート端部は、もともと固める処理が一切されていません。さらにボンネット形状に合わせて切断するため、切断面の端はグラスウールがボワボワと露出します。当然、そこからガラス繊維の破片や粉が大量に発生します。 端部をそのままにしておくのは非常によくないと判断し、普通のアルミテープで周囲をぐるっと覆い、ガラス繊維が飛び散るのを防止しました。見た目はあまり良くありませんが、安全性を優先します。
これで施工は完了です。

古い車の近代化改修 ボンネットの断熱・遮音 17
エンジン側を見ると、ボンネットを支える2本の丸い柱だけでなく、レバー左右にある山の尾根のような部分も、ほぼインナーパネルに接触する構造になっています。このため、これらの箇所にわずかでも厚みのあるものが当たると、固定フックが掛からなくなります。 ボンネットの固定は2段階構造のため、全く閉まらないわけではありませんが、わずかに浮いた状態になります。(ボンネットオープナーで開けた状態)

今回の作業では、ガラス繊維の粉が飛び散る様子をライトで確認しながら進めましたが、作業後にフロントガラスに降り積もった粉の量を見て愕然としました。
グラスウールの扱いづらさと、今回の吸音効果を踏まえると、難燃処理されたポリウレタンを使用したダイナマットの吸音・断熱フォームなどを選ぶ方が、総合的には良い選択だったかもしれません。

このボンネット施工後、何度か走行してみましたが、静音化という点ではまったく効果が感じられませんでした。音量が大きくなることも小さくなることもなく、むしろエンジン音がはっきりと聞こえるようになった印象です。良く言えばエンジンの響きが僅かに抑えられたともいえますが、「エンジン音がはっきり」は正直、嬉しい効果ではありません。
うちの車は前述のとおり、ボンネットの大部分がもともと二重構造で、アウターパネルへの制振施工が限定されるという条件があります。アウターパネルが広く露出している車種であれば、ある程度の制振・静音効果は期待できるかもしれません。
一方、断熱材としてのグラスウールには一定の効果があるはずです。この記事を書いているのは冬ですが、1時間ほど走行した後にボンネット外側に触れても、温かさをまったく感じません。少なくとも断熱効果は発揮されているようです。

関連記事:

記事へのコメント

いただいたコメントは管理人が確認した後に記事の 下部(ここ)に公開されます。
コメントスパム対策: 2022年4月以降、コメント内にリンクURLを含めると自動破棄されます。(記録されません)