クルマの近代化改修 スマホでヘッドアップディスプレイ (失敗編)

うちのクルマは古い安物なのでヘッドアップディスプレイ(HUD)なんて装備はありません。走行中に速度を確認しようとすると視線をインパネのメーターまで下げる必要があります。また、クルマの前方(遠方)を見て近くの速度計を見て再び前方を見ると、その都度ピント合わせのやり直しが発生しますが、おっさんで眼が衰えているのでそれがやや難しくなりつつあります。

最近のクルマでやや高級モデルだとダッシュボード下に埋め込まれたHUDが搭載されていてフロントガラスに投影するようになっています。そのHUDには凹面鏡やレンズやミラーが使用されていてHUDから運転手の眼までの距離よりも大幅に焦点距離が伸ばされていて遠景とHUDを見比べる際にピントの合わせ直しが必要ない(少ない)ようになってることが多いようです。

HUDを後付けしようとすると、ダッシュボード下に投影器を埋め込むことはできないのでカーブが計算された凹面鏡型のハーフミラー(リフレクタ,コンバイナ)をフロントガラスの手前に置いてそれに投影するのがベターです。しかし、ハーフミラーは透明度が高くはないので「視界に邪魔者がある感」は高めです。また、計算された凹面鏡であっても、見る位置(運転手のアタマの位置)がズレると意図通りに見えないかもしれません。ハーフミラーのリフレクタが凹面鏡になっているものは設計が良好であれば焦点距離が伸びてピント合わせが必要ない(または少ない)かもしれませんが、安物だと期待しない方が良いかもしれません。

フロントガラスの手前にリフレクタ,コンバイナがあるのは邪魔だと思うならフロントガラスに投影するタイプがありますが、HUDの投影が想定されていない普通のガラスだとガラスの表と裏の表面で2回以上の反射が発生するため投影された映像が多重に見えることになります。また、ダッシュボード上に置く後付HUDはフロントガラスに投影するまでに焦点距離を伸ばす仕組みがないため遠景と投影映像の見比べでピントの合わせ直しが必要です。メーターまで視線を下げなくても良いという以外のメリットが殆ど得られないことになります。

後付HUDで投影する映像としては、デジタルのLEDとGPSで速度だけ、OBDなどで取得した数種類の数値を表示、スマートフォンのアプリ画面の表示、スマートフォンの画面を(ほぼそのまま)Android Autoなどで投影専用ディスプレイで表示、スマートフォンのBluetoothなどで幾つかの情報を投影専用ディスプレイで表示、などがあるようです。

Android Autoの投影タイプではHUDWAYのHUDWAY Driveが有名ですが高価です。中華の似たような製品は大幅に安め(意味不明におそろしく高価で販売されていることもあります)で、この製品と同じ筐体のHUD製品が複数のブランドから販売されています。リフレクタが前方の視界を遮ることがあってはいけないので運転手の目線でダッシュボード〜ボンネットが見える範囲にリフレクタが存在するように設置する必要があると思われます。(保安基準)
スマホアプリで幾つか限られた情報を投影するタイプでは多く出回っている製品。これはC3ですが、姉妹モデルのC1, C2があります。それぞれナビ表示対応の有無があります。C1,C2,C3は筐体以外大きな違いなし?リフレクタが前方の視界を遮ることがあってはいけないので運転手の目線でダッシュボード〜ボンネットが見える範囲にリフレクタが存在するように設置する必要があると思われます。(保安基準)
今回は、スマートフォン画面をフロントガラスに投影するために試しにハーフミラーのシートだけを買ってみました。ただし、このハーフミラーのシートをフロントガラスに貼ると運転手の前方の視界を遮る障害物となり保安基準を満たさない可能性が高いです。日本で公道を走行する際にはシートを剥がしておく必要があると思われます。

クルマの近代化改修 スマホでHUD 1
今回購入したハーフミラーのシートです。ハーフミラーは透明度が高くないとは覚悟していましたが、やはり暗め(黒っぽい)です。

クルマの近代化改修 スマホでHUD 2
今回はスマートフォンの画面を映します。緊急地震速報の通知画面が黄色で目立つのでテスト用に利用することにしました。

クルマの近代化改修 スマホでHUD 3
スマートフォンをダッシュボードに置こうとしても、クルマが停まっていてもツルツル滑って意図した位置に留め置くことができないので滑り止めシートを使うことにしました。

クルマの近代化改修 スマホでHUD 4
運転席側のダッシュボードの上でフロントガラスに近いところにスマートフォンを置きました。これはハンドルの上から斜め下を覗き込む形(近め)で撮影しています。シャッターが閉まった状態で暗めな車庫内なのでスマートフォンの画面がフロントガラスによく映っています。

クルマの近代化改修 スマホでHUD 5
運転手の目線の位置で撮影しました。スマートフォンの画面がフロントガラスに映っているのは1つ前の写真と同じですが、遠めなので何が映っているかは見えにくくなりました。

クルマの近代化改修 スマホでHUD 6
スマートフォンのHUDアプリのHUDWAY Go (やSygic GPS Navigation & Maps)を使って速度と地図表示をしてみました。暗い車庫ではかろうじて速度の数字が見えますが、フロントガラス表面の反射があるので多重に見えます。これによりかなり見づらいです。また、地図は全く見えていません。

クルマの近代化改修 スマホでHUD 7
購入したハーフミラーシートをフロントガラスに貼ってみました。速度の数値が白飛びするほどで、地図も見えています。ただ、この距離だとスマートフォンは遠いということもあり地図の内容はよく判りません。

クルマの近代化改修 スマホでHUD 8
屋外で昼間の明るい時間です。太陽は斜め後ろで影響がほぼ無いはずですが、ハーフミラーシートをフロントガラスに貼っていてもスマートフォンの画面が投影されているとは思えないほどほぼ見えません。もちろんフロントガラスに直接投影では全くカケラも見えません。ダメじゃん。

ちなみに、ハーフミラーシートは糊で貼り付けるのではなく静電気でガラスに吸い付かせるものなので簡単に貼ったり剥がしたりできます。ガラスに貼る面はツルツルではなく若干ベタッとした感があります。貼るのは簡単ですが、気泡が入りやすいのとホコリが挟まりやすいです。どちらも結構目立つので上手く貼らないといけません。これはスマートフォンの画面保護フィルムと同様です。しかし、車種によってはフロントガラスが傾斜していてガラス下部に貼るのが難易度高めな場合があります。

結果

夜など周囲が暗ければスマートフォンの画面でも見えるようですが、その夜でも速度表示の数字を大きくしないと何が映っているのかよく見えないと思われます。HUDアプリは文字の大きさを調整できるようにはなっています。また、地図なども黒地に白で道だけが強調表示できるようになっています。 何にしても、昼にまったく見えないので夜に運転することがほぼ無い「がとらぼ」の人には意味がありません。
ハーフミラーシートはフロントガラス直接投影のように多重に見えることがなく、フロントガラスよりは反射率が高いのではっきり見えやすいのですが、スマートフォンの画面の輝度では暗すぎて昼には何も見えません。仮に見えても画面にごちゃごちゃ表示させたところで(視力が良くないと)ほぼ読み取れません。
また、フロントガラスにハーフミラーを貼るのはおそらく保安基準的にアウトで走行時に使えないので意味ありません。フロントガラス+ハーフミラーシートの可視光線透過率はほぼ間違いなく保安基準の70%を下回る筈です。

このハーフミラーシートを購入したのは5月の連休頃でしたが、まったく使い物にならないことが判ったので記事にしていませんでした。
しかし、最近HUDのGPS速度計を購入したので記事化しました。HUD速度計は次回で。

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クルマの原状回復 涼しい風が出ないのでエアコンオイルとガスを補充してみた

クルマの原状回復 涼しい風が出ないのでエアコンオイルとガスを補充してみた

うちのクルマは古い。がとらぼの人が初めて夏に乗ったときにもクーラーが大して効いてなかった記憶がありますが、それから放置期間を含めて8年、一度もエアコンのメンテナンスを行っていませんでした。先日暑い日に乗ったら全然冷たい風が出なくて、でもクルマは温度を下げようとして全力でエアコンを動かすのでゴーゴーと風の音ばかりがうるさい状態でした。そこでエアコンのオイルと冷媒のガスを追加することにしました。
本来であれば真空引きしてオイルも可能な限り入れ替えてということをやるのでしょうが、乗り潰すつもりのクルマなので自分で追加するだけとします。

クルマの原状回復 涼しい風が出ないのでエアコンオイルとガスを補充してみた 1
エアコン用のオイルとガスは車種によって使用できる種類が異なります。ネットでクルマの型番と共に検索すればどの種類を使えば良いかは簡単に知ることができますが、実際にクルマのボンネットを開けてエンジンルーム内のどこかに貼ってあるシールを確認する方が確実ではあります。うちのクルマはボンネットのウラ面にシールが貼ってあり、オイルはND-OIL 8、冷媒ガスはHFC134aと書かれていました。ND-OIL 8というのが判りにくいですが、PAGオイルだとのことです。おおまかには、エンジン車はPAG、ハイブリッドやEV車はPOEオイルということのようです。ガスもおおまかには134a(旧)か1234yh(新)があるということのようです。1990年代までの旧車だとCFC-12(R-12)というのもあるようです。オイルもガスも種類で特徴が異なるので指定されたものを使わなければならないようです。使用する冷媒ガスの充填量も書かれているのでその容量以下で想定される量を用意します。旧車や外車は大量に充填するものが多いようですが、最近の国産車だと多くは必要ないようです。

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クルマの原状回復 涼しい風が出ないのでエアコンオイルとガスを補充してみた 2
オイルとガスを充填するためのホース(簡易ゲージ付き)と、ガス(大きい缶)とオイル(小さい缶,少量のガスを含む)
このホースは写真の右下側のカプラをクルマに接続し、左上の「ひねる」ハンドルが付いている側に缶を接続します。

クルマの原状回復 涼しい風が出ないのでエアコンオイルとガスを補充してみた 3
左の大きい缶が冷媒のガス200gで、右側がオイルと少量のガスが入っています。
オイルの缶にはあまり目立つように書かれていませんが、缶のいろいろ書いてある部分にPAGオイルであることとHFC-134aガスが含まれることが書かれています。

クルマの原状回復 涼しい風が出ないのでエアコンオイルとガスを補充してみた 4
オイルとガスの缶は一番上の中央部分がつるんとして密閉されていて、その側面はネジ込みようのネジ山が切ってあります。

クルマの原状回復 涼しい風が出ないのでエアコンオイルとガスを補充してみた 5
充填用のホースの缶を接続する側は中央に先端が尖ったピンが飛び出ています。ここに缶を刺すとその瞬間にガスやオイルが吹き出してしまうのでピンの反対側のハンドルをいっぱいまで緩めてピンを引っ込めます。

クルマの原状回復 涼しい風が出ないのでエアコンオイルとガスを補充してみた 6
完全にピンが引っ込んだことを確認します。

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缶の口をねじ込みます。今回は先にオイルを入れてから後でガスを追加する予定なのでオイル缶を取り付けました。まだピンを刺さないようにします。

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エンジンルーム内のパイプのどこかに「L」(低圧)と書かれたキャップと「H」(高圧)と書かれたキャップがあるので「L」のキャップを見つけて半時計回りに回して外します。キャップは無くしたり汚したりしないようにします。

クルマの原状回復 涼しい風が出ないのでエアコンオイルとガスを補充してみた 9
キャップを外した状態です。キャップを外してもガスは漏れないようになっています。

クルマの原状回復 涼しい風が出ないのでエアコンオイルとガスを補充してみた 10
充填ホースのクルマ側のカプラは一番外の輪を根元側に5〜10mmほど引き下げることで嵌めることができます。外すときも同様に一番外の輪を引き下げます。
カプラはエンジンを止めた状態で接続します。ゲージは高い値が出ますが、エンジン停止中なので異常ではありません。(しかし、写真ではそれほど高い値ではないのはガスがすっかり抜けているからかしら?)

クルマの原状回復 涼しい風が出ないのでエアコンオイルとガスを補充してみた 11
エンジンは止めたままで、ネジ込んだ缶を少し緩めるとホースの中の空気がクルマからのガスに押されて「プシュー」と漏れてきます。ホース内の空気が抜ける程度に漏れ出たことを確認したら缶を再び締め込みます。ガッチガチに締める必要はありません。
エンジンをかけて、エアコンをオンにし、最低温度、風量最大にします。内気循環の方が良いという話もありますが、要はエアコンのコンプレッサーがよく回るようにすれば良いのです。このとき、アクセルとブレーキペダルに角材を挟んで、アイドリングより回転を上げておきます。1000〜2000回転程度。
エンジンがかかった状態で、ガス充填ホースのピンのハンドルを時計回りでいっぱいまで回し、ピンの先端が缶の口に穴を開けます。ピンが缶に穴を開けると感触が判るという人もいますが、「がとらぼ」の人はほとんど判りませんでした。再びピンのハンドルを逆にいっぱいまで回して緩めます。このとき、オイルの缶は逆さにしてオイルがホースに流れ出やすくします。(次のガス缶は逆さにはしません)
オイルとガスが噴出すると缶の温度が下ります。また、ゲージの針も低い値を指す筈です。
缶が空になると冷たくなっていた缶が再び元の温度に戻ってきます。缶をかるく振って液体が無くなっているようであればオイルの充填は完了です。
エンジンを停止します。カプラを外し、クルマ側のキャップを嵌めます。充填ホースに取り付けていた缶を外します。

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充填用ホースのピンが完全に引っ込んだ状態で冷媒ガスの缶を充填用ホースに取り付けます。(オイルと同じ要領です。)
エンジン内の低圧バルブのキャップを外し、充填ホースのカプラを接続します。ゲージが高い値を示すことを確認し、缶のねじ込みを少し緩めてホース内の空気を抜きます。(エアパージ)
冷媒ガスの缶は上向きにしてエンジンルーム内で安定する位置に置きます。

クルマの原状回復 涼しい風が出ないのでエアコンオイルとガスを補充してみた 13
エンジンをかけて、エアコンをオンにします。最低温度、風量最大、内気循環、アクセル1000〜2000回転程度。
充填ホースのピンのハンドルをいっぱいまで締め込み、缶に穴を開けます。そして逆にいっぱいまで緩めてガスが出るようにします。このとき、冷媒ガスの缶は縦に振ったり逆さにはしないようにします。ガスが液体の状態で流出しないようにするためですが、神経質になる必要はないかもしれません。

クルマの原状回復 涼しい風が出ないのでエアコンオイルとガスを補充してみた 14
液体だった冷媒がガスになって缶から出ることによって缶が非常に冷たくなります。缶より一回り以上大きな何かの容器に50℃程度のやや温かいお湯を用意し、冷媒ガスの缶の下半分が浸かるようにします。これで、何もしないよりはガスの充填が速くなります。缶が冷たくなく缶を軽くゆさぶり液体が残っていないようであれば充填完了です。エンジンに触れないよう注意して低圧パイプを触ってみて冷たくなっていることを確認します。クルマに接続したカプラを外し、忘れずにキャップを取り付けます。
終わりです。
もしも、ガス缶に液体の状態で残っている場合は、冷媒ガスを空気中に放出するのは違法なのでクルマ屋さんやガスステーションに持って行って処理してもらいます。充填ホースのピンをいっぱいまで押し込んだ状態で塞いでおきますが、徐々に漏れるかもなので早めに処理してもらってください。

今回は、クルマの低圧パイプ側だけに接続する簡易充填ホースにおまけのゲージが付いたものを使用しましたが、低圧ゲージだけを見ても入れすぎがわかりません。本来はマニホールドゲージという3本のホースと2つのゲージが付いた器具を使用して高圧のケージでも充填状態を見るのが正しい方法のようです。今回はガスが殆ど抜けているという「根拠のない予想」で200gのガス1缶とオイル缶の少しのガスを入れましたが、これはうちのクルマでは充填できるガス量の半分以上なので予想よりガスが抜けていなければ入れすぎです。入れ過ぎはコンプレッサーだけでなくコンデンサ、レシーバタンク、エキスパンションバルブ、エバポレータ、配管のつなぎ目などの負荷を高くして(時間をかけて)壊すことになる可能性があります。

結果

かなり冷えるようになりました。エアコンの吹き出し口から出るのが「温かい風」から「明らかな冷風」になりました。また、車内が冷えてくると適度にコンプレッサが停止する時間が発生するようになりました。(正常)。 ただし、吹き出し口から出る風が冷たすぎて、かざした手が痛いというほどではありません。もう少しガスを多く足しても良かったのかもしれませんが、これ以上は入れすぎが判らないため今回はこれで終わりとします。

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