NanoVNA V2をPCとつないでPCで測定状態を診る NanoVNA Saver

前回はNanoVNA-QTを触ったが、今回はNanoVNA Saver。を触ってみる。NanoVNA SaverはNanoVNAで使ってる人が多いので今更感はあるけど、ド素人が実際に触ってみた感想として。

Linux側の設定 (ここは前回と同じ)

Windowsではドライバのインストールが要るみたいだけどLinuxではデバイスと通信できれば特にすることは無い。ただし、最近のLinuxは初期状態でデバイスと通信できないのが普通だから、ちょっとだけ触る。
NanoVNA V2をLinux PCにUSB接続してNanoVNA V2デバイスの電源をオンにすると/dev/ttyACM0というデバイスファイルが出現する。これがNanoVNA V2のUSBシリアルデバイス。こいつでnanoVNAとシリアル通信する。

$ ls -l /dev/ttyACM0
crw-rw---- 1 root dialout 166, 0  9月 11 22:33 /dev/ttyACM0

読み書きのパーミッションがrootとdialoutグループにしか振られてないのでこのままでは一般ユーザーが使えない。sudo chmod 666 /dev/ttyACM0で変更しても良いが、このデバイスは生まれたり消えたりするので出現の度にパーミッションが戻る。/etc/udev/rules.d下にルールファイルを書いてパーミッションを自動設定するのが簡単かも。

/etc/udev/rules.d/40-nanoVNA.rules (新規作成)
KERNEL=="ttyACM0",MODE="0666"
極めて簡単にttyACM0デバイスはパーミッション0666にするというだけの指定。接続するデバイスに応じてとかもできるけど省略。
$ ls -l /dev/ttyACM0
crw-rw-rw- 1 root dialout 166, 0  9月 11 22:39 /dev/ttyACM0
これでLinux側は準備完了。NanoVNA-QT, NanoVNASaverを立ち上げる際は先にNanoVNA/NanoVNA V2をPCに接続して電源をオンにするとトラブらない(筈)。

NanoVNA Saverの入手

https://github.com/NanoVNA-Saver/nanovna-saver/releasesから なるべく新しいバージョンをダウンロード。
Linux用、Mac用、Windows用は実行可能なものが入手可能。Linux用はダウンロードしてZIPファイルを解凍したらファイル1つ(nanovna-saver)が出る。このファイルはクリックすれば実行できる。または環境によってはクリックで実行できなければ chmod +x nanovna-saver で実行可にしてからクリックすれば実行できる筈。

NanoVNA Saverを動かす

NanoVNA V2をPCとUSBケーブルで接続して電源をオンにする。
ダウンロードして解凍したNanoVNA Saverのファイル(nanovna-saver)を実行する。

NanoVNA Saverを触ってみた 1
NanoVNA Saverを起動した直後の画面。
起動しただけではNanoVNA V2とはアプリ的には接続されていないのでグラフは真っ白。数値も無い状態。
NanoVNA V2を接続している場合は左下の方にあるSerial port controlの枠のところに「/dev/ttyACM0 (S-A-A-2)」と表示されている筈。
NanoVNA Saver 0.3.7ではここがバグっているらしく、(S-A-A-2)が付いた状態で[Connect to device]ボタンを押すとNanoVNA Saverが落ちてしまう。 「/dev/ttyACM0」だけにしてから[Connect to device]ボタンを押す。

NanoVNA Saverを触ってみた 2
NanoVNA V2の画面がNanoVNA V2_2 USB MODEという表示だけになり、NanoVNA Saverの画面にグラフや数値が描かれる。
この状態で[Disconnect]を押し、NanoVNA Saverを終了し、再度起動して「/dev/ttyACM0 (S-A-A-2)」の表示の状態で[Connect to device]を押してもNanoVNA Saverは落ちない。NanoVNA V2側がUSB接続モードになっていれば落ちないみたい。
左下の方にある[Calibration]ボタンを押す。

NanoVNA Saverを触ってみた 3
キャリブレーションは個別にShort, Open Loadなどとやることも、アシスタントを使うこともできるみたい。今回はアシスタントを使うことにするので[Calibration assistant]ボタンを押す。

NanoVNA Saverを触ってみた 4
キャリブレーションに使うプラグとケーブルを用意し、S11(port 0)の端子側にケーブルをつなぐ。
[OK]を押す。

NanoVNA Saverを触ってみた 5
S11(port 0)の側のケーブルの先に「ショート」のプラグを取り付けて[OK]を押す。

NanoVNA Saverを触ってみた 6
S11(port 0)の側のケーブルの先の「ショート」のプラグを外し「オープン」のプラグを取り付けて[OK]を押す。

NanoVNA Saverを触ってみた 7
S11(port 0)の側のケーブルの先の「オープン」のプラグを外し「ロード」のプラグを取り付けて[OK]を押す。

NanoVNA Saverを触ってみた 8
S11(port 0)側は終わり。引き続きS21(port 1)をやるなら[Yes]、そうでなければ[Apply]を押す。フィルタを測定するとかそういうのがなければここで[Apply]で良い。

NanoVNA Saverを触ってみた 9
完了したら左下の[Save calibration]ボタンを押してファイルに保存しておくと次回以降にキャリブレーションを行う面倒が少し減る。次回以降は必要に応じて[Load calibration]で読み出す。
右上の[x]ボタンでこのウィンドウを閉じてメイン画面に戻る。

NanoVNA Saverを触ってみた 10
メイン画面の左下にある[Display setup]ボタンを押すとこの画面。
NanoVNA Saverの初期値ではグラフの線が無くて測定ポイントの点だけが描かれる。点がきれいに並べばそれで読み取れるかもしれないがごちゃごちゃしたグラフになると点の集合では全く何がなんなのか判らないので「Show Lines」にチェックする。これで点と点の間に線が描かれる。
Dark modeにチェックするとグラフの背景が黒になる。背景が白だと目がツラいという場合はダークモードをオンがオススメ。
下段の方にあるDisplayed chartsで描くグラフの内容を6つまで選択できる。欲張る必要はないと思うので画像ではスミスチャートとVSWRを選択してみた。設定したら右上の[x]でこのウィンドウを閉じる。

NanoVNA Saverを触ってみた 11
メイン画面左上のSweep controlで表示される周波数の範囲を指定する。Startが表示させる範囲の低い側の周波数。Stopが表示される範囲の高い側の周波数。
指定したら[Sweep]ボタンを押す。初期状態ではそれでボタンを押したときの測定状態にグラフや数値が更新される。[Sweep]ボタンを押さないと更新されない状態。

NanoVNA Saverを触ってみた 12
表示させる範囲を狭めてみた。スミスチャート、VSWRのグラフ共に暴れている。NanoVNA Saverではこのように暴れることが多い。

NanoVNA Saverを触ってみた 13
メイン画面左上Sweep Controlのところにある[Sweep settings]ボタンを押すとこの画面。
[Sweep]ボタンを押さないと更新されないというのがイヤなら「Continous sweep」を選択する。メイン画面で[sweep]を押すと自動的に画面更新を続けるようになる。更新を停止させる場合は[Stop]ボタンを押す。もしかしたらAveraged sweepの方が良いかも。

NanoVNA Saverを触ってみた 14
Continous sweepを選択して自動更新状態で少し様子を見ると得られる値が落ち着いてきて過去に見たようななだらかなVSWRやキレイな曲線のスミスチャートになった。

NanoVNA Saverだとなかなか思ったように値が出ないしズレる。それが正確だからなのか迷ったりした結果なのかはよく判らない。
前回のNanoVNA-QTより見映えはNanoVNA Saverの方が良いけどグラフが暴れてズレるのでNanoVNA V2ではNanoVNA-QTを使う方が良いかしら?

NanoVNA V2をPCとつないでPCで測定状態を診る NanoVNA-QT

先日使い始めたNanoVNA V2(基本型)の画面は2.8インチ(6cm x 4.5cm)という小さなもので、近視かつ老眼進行中の「がとらぼ」の中の人にとっては「まぁ見えなくはないけど読みにくいよね」というのが正直な感想。できるならPCの大きな画面で余裕をもって見たいかなと思う。
普通のnanoVNA用にはNanoVNASaverという有名なのがある。これは最近はNanoVNA V2にも対応したので現在は利用できる。もう一つ、NanoVNA-QTというのがあってNanoVNA V2用として作られてる?のでNanoVNA V2のユーザーはNanoVNASaverが対応するまではNanoVNA-QTを使ってたみたい。今回はそのNanoVNA-QTを撫でるようにサラッと触ってみた。

Linux側の設定

Windowsではドライバのインストールが要るみたいだけどLinuxではデバイスと通信できれば特にすることは無い。ただし、最近のLinuxは初期状態でデバイスと通信できないのが普通だから、ちょっとだけ触る。
NanoVNA V2をLinux PCにUSB接続してNanoVNA V2デバイスの電源をオンにすると/dev/ttyACM0というデバイスファイルが出現する。これがNanoVNA V2のUSBシリアルデバイス。こいつでnanoVNAとシリアル通信する。

$ ls -l /dev/ttyACM0
crw-rw---- 1 root dialout 166, 0  9月 11 22:33 /dev/ttyACM0

読み書きのパーミッションがrootとdialoutグループにしか振られてないのでこのままでは一般ユーザーが使えない。sudo chmod 666 /dev/ttyACM0で変更しても良いが、このデバイスは生まれたり消えたりするので出現の度にパーミッションが戻る。/etc/udev/rules.d下にルールファイルを書いてパーミッションを自動設定するのが簡単かも。

/etc/udev/rules.d/40-nanoVNA.rules (新規作成)
KERNEL=="ttyACM0",MODE="0666"
極めて簡単にttyACM0デバイスはパーミッション0666にするというだけの指定。接続するデバイスに応じてとかもできるけど省略。
$ ls -l /dev/ttyACM0
crw-rw-rw- 1 root dialout 166, 0  9月 11 22:39 /dev/ttyACM0
これでLinux側は準備完了。NanoVNA-QT, NanoVNASaverを立ち上げる際は先にNanoVNA/NanoVNA V2をPCに接続して電源をオンにするとトラブらない(筈)。

NanoVNA QT

NanoVNA-QTは最初からNanoVNA V2用に作られたPC用のGUIツール。NanoVNA V2の本体の液晶画面でチマチマやるよりはPCの方が簡単よね。画面はシンプルでNanoVNA上でやるのと大して違わない印象。

https://github.com/nanovna/NanoVNA-QT/releases からなるべく新しいバージョンのダウンロードリンクからダウンロードする。Linux用、MAC用、Windows用はバイナリが用意されてるので簡単みたい。 Linux用はNanoVNA_QT_GUI-x86_64.AppImage(64bit用)またはNanoVNA_QT_GUI-i386.AppImage(32ビット用)をダウンロード。AppImageなのでそのままクリックして実行するだけ。
MacならNanoVNA_QT_MacOS.dmg、WindowsならCypressDriverInstaller_1.exe(ドライバ)とvna_qt_windows.zip。(未確認)

NanoVNA-QT 1
NanoVNA-QT起動直後はアプリ的にはNanoVNA V2と接続されていない状態なので画面に動きは無い。

NanoVNA-QT 2
上部メニューのDeviceからSelect Device欄の /dev/ttyACM0 をクリックする。(USBシリアルデバイスが1つしかない場合)

NanoVNA-QT 3
NanoVNA V2との接続が成功すると画面に線が描かれ始める。

NanoVNA-QT 4
右側でキャリブレーション。 アンテナ端子S11の方にNanoVNA V2付属ケーブルまたはアンテナに繋がるケーブルを接続する。 「Clear」を押す。
対向側の端子にNanoVNA V2付属の「ショート」のプラグを取り付ける。NanoVNA-QTの右列の「Short」を押す。数秒でボタンが紫色になる。上の画像の状態。
対向側の端子にNanoVNA V2付属の「オープン」のプラグを取り付ける。NanoVNA-QTの右列の「Open」を押す。数秒でボタンが紫色になる。
対向側の端子にNanoVNA V2付属の「ロード」のプラグを取り付ける。NanoVNA-QTの右列の「Load」を押す。数秒でボタンが紫色になる。
「Apply」のボタンを押す? ちょっと判らない。

NanoVNA-QT 5
キャリブレーションが終わってケーブルからプラグを外して落ち着くとこんな感じ。

NanoVNA-QT 6
キャリブレーションが終わったらこの状態を保存しておく。キャリブレーション時に使用したケーブルも込みの状態で。
左上隅の「Calibration」から「Save as...」を選択。ファイル保存窓が開くので好きな場所に好きな名前(拡張子は.cal)で保存する。接続するケーブル毎に保存しておけば次回以降に毎回キャリブレーションを行う手間が省ける。NanoVNA V2本体にも似たような機能はあるけど好きな場所に思うままに好きな名前で保存するというのはできないのでこの点はNanoVNA-QTの方が流石に良い感じ。

NanoVNA-QT 7
描くグラフの種類を選択する。画像では右の方をma(s11)からswr(S11)に変更するように見えるかもだけど、変更しようとしているのは左の赤線グラフ。

NanoVNA-QT 8
NanoVNA-QTの初期値では200MHz〜1425MHzを描くようになっている。これは広すぎるし診たい周波数でないかもしれない。
表示する周波数の幅は一番上の「Device」から「Sweep parameters」から指定する。

NanoVNA-QT 9
例えばADS-Bの1090MHz帯を見ようとしたときに、(好みで)前後100MHzずつ取って990〜1190MHz(200MHz幅)を指定する。
測定ポイント(Frequency point)を100(箇所)に指定(初期値50)。200MHz幅に100箇所の測定ポイントなので測定間隔(Step Size)は初期値の4.00から2.00に変わる。
良さそうなら[OK]を押す。

NanoVNA-QT 10
表示したい周波数の範囲になったことを確認して、下部のスライダーを動かす。左の方に表示される周波数が変化するので診たい周波数に合わせる。今回接続したアンテナだとswrが1090MHz付近で最小になり値がグラフ上では1.0〜1.1程度?最下部の周波数の右側に赤と青の値がその周波数での値で、赤字のSWR(S11)は値が1.05ということらしい。 左のスミスチャートで赤い点がちょうど左右の中央50Ωで上下のズレもないので良い感じ。(なのかな?) スミスチャートの見方がこれっぽっちも判ってない人なのでスミマセン。

nanoVNA-QTはゴチャゴチャし過ぎてないのでド素人の「がとらぼ」の中の人でも初見で「全然わかんねぇ」ってほどではなくなんとか触れた。ただ、値が数値として何処に表示されるか判りにくいと思った。

AliExpress商品画像 1,884円
(2022年04月09日 の参考価格)
今回測ったアンテナ。測定前は中華の怪しい製品だと思っていたのとアンテナハイトパターンの罠にハマったのか実際の受信で能力が低いと思って退役させてたんだけど、今回測ってみたらド素人的には悪いところが判らず。むしろ良い感じ?
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